表面処理とは

はじめに

近年、粒子設計では粒子に表面処理を施すことにより、粒子に付加価値や新たな機能を付加できるようになりました。表面処理について詳しくご説明します。

表面処理

表面処理とは粒子表面に物理的、化学的処理を施すことです。表面処理をすることにより粒子単体では得られない性質や特性を付加させることを、特に「表面改質」と呼びます。表面改質を行えば、親油性、親水性、伝導性、流動性など、さまざまな機能を粒子に付加することができます。また表面改質は、「コーティング」、「カップリング処理」、「複合化」、「球形化」などに分類することができます。

コーティング

コーティングとは、粒子表面に薄い膜を形成させることです。当社の「FMミキサ」はこのコーティング操作を得意としています。混合槽内で粉体の循環流を形成し、液状のコーティング剤を添加することで、粒子表面に均一にムラなくコーティングすることが出来ます。高速攪拌により、他機構のミキサよりも効率よく、ムラのないコーティングをすることが出来ます。以下のように、ステアリン酸やマレイン酸などの脂肪酸やワックスなどの常温で固形状のものと材料を一緒に仕込み、加熱混合することでのコーティングも可能です。また一般的に粉体表面は、0.2~0.3%の吸着水で覆われています。コーティング前に粉体を加熱し、吸着水を飛ばすことで、コーティング効率を上げることもできます。

コーティングの仕組み コーティングの仕組み

カップリング処理

カップリング処理とは、極性の異なる無機物(親水性)と有機物(疎水性)を繋ぐ働きを持つ官能基を粒子表面に結合させる処理です。耐水性、親油性、分散性、ぬれ性など機能を付加することが出来ます。乾式処理法でのカップリング処理では、「FMミキサ」が活躍しています。主な乾式処理法の工程は以下の通りです。湿式処理法に比べ、乾式処理法は生産性が高いメリットがあります。コーティング同様、粉体表面の吸着水を事前に乾燥させることによって、カップリング効率を上げることが出来ます。

乾式処理法の工程 乾式処理法の工程

複合化

複合化とは、母粒子に子粒子を固定化させる処理です。粒子にせん断エネルギーや衝突エネルギーを与えることで、母粒子と子粒子が複合化します。一般的に子粒子は母粒子の1/10~1/20以下の大きさが好ましいとされています。また複合化の効率を上げるため、バインダーを加えることもあります。複合化の仕組みは下図の通りです。母粒子表面に子粒子が付着、固定化、打ち込み・カプセル化の順に進み、バインダーを用いた場合にはバインダーを熱分解させることで焼結体が生成されます。

複合化の仕組み 複合化の仕組み

当社機器「FMミキサ」、「コンポジ」、「メカノハイブリッド」で複合化処理が可能です。これらの機械は、混合槽底にある羽根を高速攪拌させることで複合化に必要なエネルギーを発生させます。左図は、当社機械での複合化実績です。ナイロン球に二酸化チタンを複合化しました。3min、15min処理品ではナイロン球表面に二酸化チタンが打ち込まれいることが確認できますが、60min処理品では二酸化チタンが表面に見えなくなるまで打ち込まれていることがわかります。粒子の動摩擦係数を見ても、30min処理品はナイロン球と同等の動摩擦係数となっています。これはナイロン球表面に存在していた二酸化チタンが、30min処理することでナイロン球内部まで打ち込まれ、粒子表面に存在しなくなったことを裏付けています。当社粉体技術センターでは、動摩擦測定も可能です。また、電池材料やトナーの外添処理などの納入実績やテスト実績が多数ありますので、興味のある方はお問合せ下さい。

粒子表面のSEM画像/粒子の動摩擦係数 粒子表面のSEM画像/粒子の動摩擦係数

球形化

球形化とは、粒子表面に生じた凸部を打ち込ませるあるいは磨砕させることにより、粒子表面を滑らかにする処理のことです。球形化により、流動性、充填率の向上や粒子を基盤に塗布した際の膜厚の均一化が見込まれます。球形化処理は磁性トナーが有名です。以下、磁性トナーの球形化処理例です。処理前は、粒子表面に磁粉が突き出た状態となっていますが、処理を施すことで粒子中に磁粉が打ち込まれ、表面が滑らかになっていることが見て取れます。なお、材料をガラス転移点付近の温度に調節することで、球形化を促進させています。

処理前/処理後 処理前/処理後

また磁性トナー以外にもカーボンや金属など球形化の実績は多数あります。詳しくは下記より製品ページをご確認下さい。

処理例

処理例として以下の実績をご紹介します。その他実績多数ございますので、粉体の表面処理をご検討されている方はお気軽にご相談頂ければと思います。
・電池材料の表面処理
 リン酸鉄リチウム、鉄系合金、水酸化アルミニウム、水酸化ニッケル、カーボンブラック、CNTなど
・無機物のシランカップリング
 酸化チタン、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、鉄粉など
・化粧品材料の表面処理
 酸化チタン、マイカ、タルクなど

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