メカノケミカル反応を利用した水素製造方法および製造装置

はじめに

新たなエネルギー源として注目されている水素ですが、カーボンニュートラルの時代を迎え、再生可能エネルギーを用いて水から製造された「グリーン水素」が求められています。これまで培ってきた当社の粉砕技術を活用した新たな水素製造方法を提案します。

「メカノケミカル反応を利用した水素製造方法」とは

一般的に「グリーン水素」とは水を電気分解して製造されたもので、この時使用する電力は太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用したものと定義されています。しかし、現状の水電解法では大量の電力を消費するために大規模な発電設備が必要となります。
そこで当社では、ビーズミルなどのメディア撹拌型粉砕機を利用して水素を製造する技術「メカノケミカル反応を利用した水素製造方法」に着目し、開発を進めています。この技術は、アルカリを加えた水中でケイ素や鉄、アルミニウムなどの無機物質をボールミルやビーズミルなどを用いて粉砕を進めることによって、それら無機物質が粉砕されるのと同時に常温・常圧で水と反応し、大量の水素が発生する現象を利用したものです。水と無機物質が反応する際に酸素は無機物質との酸化反応で、そのほとんど全てが消費されてしまうため、高純度な水素ガスが発生します。

水素製造に使用する原料は?

無機物質の中で、とりわけケイ素(シリコン)が効率良く水と反応して水素ガスを発生します。半導体の製造工程や太陽光発電パネルの製造工程でシリコンウェハや多結晶シリコンの端材・切削屑が発生しますが、それらのほとんどが再利用されずに埋立て処分されています。この廃棄されているシリコンと水から高純度な水素を製造することができます。また、太陽光発電パネルの寿命は20~30年程度と言われており、近い将来、寿命を迎えた太陽光発電パネルが大量に廃棄され始めることが予想されます。太陽光発電パネルの素材もシリコンでできていますので、水素製造の原料として利用できる可能性があります。
当社で行った実験では、2時間の運転で1グラムのシリコン粉末から約1.6NLの水素を生成することができました。2時間後も微量ながら水素は発生し続けていることから、粉砕の条件を変えて微粉砕を進めることで、さらに多くの水素を回収できる可能性があります。

水素製造に要する電力は?

水電解法は大量の電気を消費します。現在普及しているアルカリ型の水電解装置では、1Nm3の水素を製造するのに4~4.5kWh程度の電力量を要するといわれており、また、供給される電力が不安定になると水素の純度が低下するデメリットもあります。そのため、水電解法で安定的に水素を製造しようとする場合、大規模な発電システムが必要になるケースが多くあります。
メディア撹拌型粉砕機もモータを駆動して運転するため、それなりの電力を必要としますが、当社が長年培ってきた粉砕機の技術・製品を活用することで、低電力で効率良くシリコンを粉砕することができます。例えば、当社のSCミルは、L/D(タンク長さ/タンク径)が約1/3と非常に小さく、またユニークな内部構造を有した設計により、大流量循環処理とエネルギー効率の向上、ポンプレス化など他社にない特徴を備えた粉砕機です。SCミルとアトライタでケイ素を粉砕しながら水素を生成した実験結果を示しますが、SCミルの粉砕効率はアトライタよりも優れているため、より低電力量で水素を生成できます(原料となるシリコンの粒子径や組成によって異なる場合があります)。また、この実験ではSCミルにおいて水電解法の約1/4の電力量で水から水素を生成させることができました。SCミルは小型機から大型機までラインアップしており、発電規模に応じた型式の選定ができます。

SCミルの詳細構造はこちらから

実験の様子

機器導入に関してのご相談から専門的な技術セミナーまで
様々なシチュエーションに対応します。

技術情報には掲載していない情報もお伝えすることができますので、
当社機器にご興味を持たれた方は是非お問い合わせください。

お問い合わせ
PAGETOP ↑
error: