ビーズミルを使った粉砕・分散のワンポイント

はじめに

運転条件によって粉砕・分散処理の成否が決まります

  • 適切なビーズ径は?
  • 粒度分布をシャープに
    するにはどうすれば良い?
  • ソフト分散は適切なのか?

など、当社のビーズミルを使ったデータで、これらについて説明します

適切なビーズ径とは

ビーズ径は一般的に目標粒子径と原料粒子径で決定します。
原料の最大粒子径に対して10倍程度、または目標粒子径に対して1000倍程度が目安になります。
しかし濃度や粘度がビーズの動きに影響し、ビーズミルの性能が十分に発揮できないことがあります。

例えば、
粘度はどう影響するのか?

  • 水の場合のビーズ層
  • グリセリンの場合のビーズ層

「SCミル」を使って、ビーズミル内部のビーズの状態を可視化してみました。
ビーズ充填量が同じでも、水と粘度が高いグリセリンでは、ビーズ層に違いが出ます。ビーズ間の距離が広がっており、これではビーズの力は処理物に伝わりにくくなります。
このように、粘度が高い場合には一般的なビーズ径の選定よりも大きいビーズで処理したほうが良い結果が出る場合があります。

適切なビーズ径を選ぶと

「SCミルロング」でビーズ径とエネルギー原単位の関係を調査した結果を紹介します。
Φ0.3,0.5,0.8mmの3種類のジルコニアビーズを利用して無機物を目標粒子径まで粉砕したところ、生産能力はビーズ径が小さいほうが高くなり、エネルギー原単位もビーズ径が小さいほうが良い結果となりました。(処理能力、エネルギー効率向上)
また、目標粒子径までのビーズの摩耗量を比較すると、ビーズ径が大きくなるにつれ摩耗は多くなりました。(無駄なエネルギーでビーズを摩耗させている)
このことから適正なビーズ径は処理時間の短縮だけでなく、エネルギー原単位やビーズの摩耗にも大きく影響することが分ります。

ビーズサイズ 生産能力比
[-]
エネルギー
原単位比[-]
摩耗量比
[-]
Φ0.5mm 0.76 1.37 1.4
Φ0.8mm 0.55 2.12 2.5

Φ0.3mmビーズを1として比較

粒度分布をシャープにするには

粒度分布をシャープにするには、衝突エネルギーよりせん断エネルギーで分散する方が良いとされています。
当社のビーズミルはビーズを高充填すると、せん断エネルギーの割合が高くなります。
下記は「MSCミル」で比較したときの粒度分布です。ビーズが高充填のほうが粒度分布がシャープになっています。

ビーズ低充填 ビーズ低充填 ビーズ高充填 ビーズ高充填
ビーズ充填率を変えたときのシミュレーションのグラフ ビーズ充填率を変えたときのシミュレーションのグラフ

左は早稲田大学 所研究室との共同研究で行った「MSCミル」でビーズ充填率を変えたときのシミュレーションです。ビーズの充填率が増えると衝突エネルギーが小さくなり、せん断エネルギーが大きくなることがわかります。

ソフト分散は適切なのか

ナノ粒子の分散処理は、アジテータを低速回転とし、低エネルギーでソフトに分散するのが良いとされています。
しかし、ソフトな分散の場合、ビーズの力が足りず大きな粒子を崩せなかったり、一次粒子まで分散するまでの多くの時間を費やすことがあります。
そのため、当社では処理内容に応じてナノ粒子でもビーズミルの周速を20m/sで運転する場合があります。

周速

16m/2のグラフ 25m/2のグラフ

左は重質炭酸カルシウムの粉砕になります。
通常使うビーズよりも、小さなビーズを利用して粉砕を行ってます。 そのため、ビーズ一つ一つのエネルギーが小さいため、高速回転でビーズに高エネルギーを与えて粉砕しています。

16m/sと25m/sの周速で比較すると、16m/sの場合、エネルギーが足りずに粗粒子が残っています。 そのため、この周速で運転するためには大きなビーズでプレ分散が必要になります。
25m/sは粉砕時間も半分以下でしかも粗粒子もありません。

このようなことがナノ粒子の分散にも当てはまります。 最近の事例では周速:20m/sで運転しても6nmまで分散できた事例もあります。

当社のビーズミルは高速回転してもビーズが均一に循環するような構造のため、高速回転でも余計なエネルギーを粒子に与えにくいビーズミルです。

高速回転処理を一度、
お試しください。
ナノ粒子の分散時間の
短縮が行えます。

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